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※「日本版ユース・パーラメント」第1弾 維新の党編の模様(2015.3.2)

アクティブ・ラーニングとPBL(課題解決型学習)

私は昨年度からから中央大学で特任准教授として授業を受け持っている。担当しているのはキャリア科目で、特に「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる学生が主体的に学ぶ学習形態についてだ。

参照)中央大学商学部「ビジネス・プロジェクト講座」(担当:高橋)

かつての大学の授業は、大教室で教授が黒板に書いたものをノートに取ったり、話をメモしたりする座学形式のものが多く、多くはただ知識を得ることを主眼としていたが、生徒が主体的に学ぶアクティブ・ラーニングを大学でも率先的に採り入れていこうということで、私が招かれたのだ。大学もまた、変わっていかなければならない時代になってきたと言える。

私が取り組んでいる授業に、「ビジネス・プロジェクト講座」という1年前期の科目がある。「PBL(Project-Based Learning)」と呼ばれる課題解決型学習で、私が加わった2014年度から正式科目となり、これまでにサントリー、オリエンタルランド、キッコーマン、JAXA、APAホテルなどに協力していただいた。企業側から具体的なミッションをもらい、学生は擬似「社員」として解決策を検討、上司役の実際の社員や経営者たちを前にプレゼンをした。

大学においても、学問の発展と複雑化、細分化によって、知識や技術の伝授よりも、個々の学生に適した方法論の習得と確立が求められるようになってきた。そのため、これまでの座学(講義形式教育)と対照的なアクティブ・ラーニングの必要性が認識されはじめ、効果的なプログラムとして各大学で取り組みが広がりつつある。

こうしたプログラムは、プロジェクト実行のためのフレームワークの設定から、実施計画の立案、プロジェクト実行まで、すべてを学生自ら行う。その過程で、学生たちが課題解決に向かって積極的、主体的に取り組むことにより、学習意欲を強く持つとともに、通常の講義では得られないロジカルシンキング、課題解決能力、プレゼンテーション能力、デザイン力などといった実践的な力を身に付け、目覚ましい成長を遂げるなど、その効果は高い。

「PBLインターンシップ」という実践的な取り組み

このように大学生の学びの形式が変わりつつあるなかで、企業でも様々な取り組みが行われている。

7月4日、横浜市みなとみらいのクイーンズスクエアの株式会社ノジマ本社で、「PBLインターンシッププログラム 最終発表会」と題して、PBLによる課題解決とインターンを組み合わせた取り組みが行われた。学生たちは、グループに分かれ、数ヵ月にわたり取り組んできた業務改善案や新規事業計画の提案を、社長や総務・人事部長、人事課長などを前に行った。

このプログラムを開発・提供しているのは、大学生ベンチャーである株式会社Presidents。

参照)株式会社Presidents「PBLインターンシッププログラム」

起業した取締役たちが、大学時代に自らが学んだPBLの経験や、インターンシップ体験などから、「質が高く、限られた時間でより成長できるプログラムが必要」と話す。

「PBLインターンシップ」は、実際に店舗などでの就業体験も行うため、授業によるPBLでは机上論になりがちな部分においても、実際の現場ありきの提案もできるようになるという。

この日の最終プレゼンテーションでは、社員以上に質が高いのではないかと思われるような発表もあり、中には、野島廣司社長から業務改善においても新規事業においても「即採用」との評価を得たグループもあった。

こうした体験は、学生たちにとっても忘れられない経験になると同時に、大きな自信にもなるに違いない。

政治教育にもアクティブ・ラーニングやPBLが必要!

アクティブ・ラーニングやPBLの取り組みは、企業の新入社員教育で実施されるOJT(On the Job Training)などの延長として、企業活動が課題に扱われることが多いが、実は政治教育においても重要なプログラムになるのではないかと考えている。

今年2月、「Social Innovation Program ~社会起業と総合政策特別講座~」と題して、通称「高橋亮平道場」と呼ばれる創発プログラムをAO入試などを目指す高校生を対象に行った。計8回で10万円程度する高額なプログラムにもかかわらず、30人もの学生が集まってくれて、学生や保護者たちのこうしたプログラムに対する関心の高さを感じた。

参加した高校生たちは、ビジネス・コンテストのように単に提案をするのではなく、Social Innovationを起こすための事業を実際に始め、そのうちのいくつかは成果も出してきた。

学歴的にも非常にレベルの高い学生たちの集合ではあったが、最終日の3月25日の最終発表に審査員として参加してもらった安倍昭恵 総理夫人はじめ、トーマツベンチャーサポートの方や社会起業家などはみな、学生たちの提案のレベルの高さに感心していた。同時にプログラムの質の高さもお褒めいただいた。

今国会で「18歳選挙権」が実現したことは記憶に新しい。これによって、これまで以上に、若者の政治への関心を高めることや、政治リテラシーの要請は重要な課題になってくるはずだ。だが、その一方で、マスコミが一斉に取り上げ始めている政治教育の取り組みの多くは、模擬選挙など体験的なプログラムに留まっているものが多いのも事実だ。

この7月1日から、さらに兼業で千葉市「こども若者参画・生徒会活性化アドバイザー」を務めることになった。

今回ご紹介したようなPBLを用いたプログラムは、むしろ自治体の現場でも様々な形で活用していくことができるだろう。大学で、企業活動の代わりに行政課題や政策課題をテーマに上げることもできれば、自治体PBLインターンシップなどを考えることも可能だ。

座学による知識伝達だけでなく、体験を加えていこうというのは一つの進化だとは思うが、政治教育の分野においても、もう1つ2つフェーズを上げていく必要があるのではないだろうか。

国際会議で各国首脳を前に演説するスウェーデンの若者

大学や高校で若者の政治参加や社会参加について講演を行う際、学生たちが関心と危機感を持つキッカケとなる話題の一つに、スウェーデンのLSU(全国青年協議会)がある。

医師にとっての医師会や医師政治連盟、農家にとっての農協やその全国組織である全国農業者農政運動組織協議会といった業界の利益団体のように、スウェーデンには「若者の利益団体」とも言える組織がある。

この組織には、生徒会の全国組織やYMCAの全国組織、若者関連のNPOなどといった若者に関係する様々な団体が傘下に入ったアンブレラ組織になっており、そこには政党の青年部までが入っている。

私が2010年にスウェーデン視察に行った際には、23歳の女性がこのLSUの代表を務めており、国の若者政策については、その政策を担当する閣僚と協議を行うとのことだった。

スウェーデンには、若者に影響のある政策を決める際、実際に若者の意見を聞かなければならない仕組みがあり、さらに政治現場の最前線で20代前半の若者が活躍しているという事実に大きな刺激を受けた。

この23歳の女性は、「EUの国際会議のほか、国連の会議でも各国首脳を前に、現在の若者が抱える課題について演説することもある」と話していた。

グローバル化が叫ばれる日本ではあるが、英語が話せれば即グローバル人材ということではない。若者が国際社会で活躍していくためには、どういう人材と競争していかなければならないのか、そのためにはどうしなければならないか、をもっともっと考えていく必要がある。

政党公約に若者の提案を反映させる「日本版ユース・パーラメント」

18歳選挙権の成立を受け、国内においても、若者の意見を吸い上げる仕組みや、若者が主体となって政策形成に携わる仕組みが必要だと考える。そこで私たちは「日本版ユース・パーラメント」という仕組みを提案している。

今年3月2日に行われた「日本版ユース・パーラメント」の第1弾では、維新の党と若者協議会準備会で、若者の提言を維新の党の政策に反映しようと取り組んだ。

会場には、維新の党に所属する国会議員12名のほか、地方議員、党職員なども参加し、終了後、提案のあった若い世代の候補者を積極的に擁立していくことや、その支援体制の強化についても積極的に取り組んでいくことが約束され、統一地方選挙の際に早速実現された。

また若い世代の声を聴く機会を定期的に設けることや、インターンシップを積極的に受け入れ、学生部を創設することを盛り込んだ青年局の公約も発表された。

こうした公約に基づき、若者協議会準備会と維新の党青年局との政策協議は継続的に行われている。

つい先日、7月6日に行われた政策協議にも、国会議員5名のほか、地方議員、政党職員が参加し、勉強会やディスカッションを続けてきた若者側からは、被選挙権年齢の引き下げ、若者省の設置、政治教育プログラムとしての生徒会活動の活用などの政策提案もなされた。徐々に現実的な政策が多くなり、その質も高まってきていた。

維新の党が最終的にどの程度、こうした政策を反映するかは未定だが、この間のプロセスを見てきた限りでは、いくつかの政策は実際に党の公約として掲げられるのではないかと感じている。

7・9「日本版ユース・パーラメント」第二弾開催!

今週の木曜日7月9日には、公明党との「日本版ユース・パーラメント」第二弾が、参議院議員会館で開催される。

当日、公明党からは、石川博崇 青年委員長・参議院議員、中野洋昌 学生局長・衆議院議員ほか党所属の国会議員、地方議員、党職員などが参加し、実際に若者政策の具体化について、政策協議を行う予定です。

公明党は、2012年に「ユース・ポリシー」、2014年に「ユース・ビジョン」を打ち出すなど、これまでも積極的に若者政策を提示してきた政党であり、18歳から投票が可能となる2016年夏の参議院選挙までに、こうした先行事例のブラッシュアップを含め、若者の政治参画政策について、より一層若者の声を反映してくれるのではないかと期待している。

若者協議会では引き続き、与野党各党と、この「日本版ユース・パーラメント」を進めていく予定だが、支持政党とは関係なく、多くの、そして幅広い若者に参加してもらいたいと思っている。

幸い、50人の定員にはまだ若干の余裕がある。このコラムを読んで、関心を持ってくれた大学生、高校生はじめとした若者諸君には、是非、一歩踏み出して「日本版ユース・パーラメント」に参加してもらいたい。

 

 

Yahoo!ニュース「高橋亮平 Identity and Innovation Lab.」より転載
https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20150708-00047335/

 

高橋亮平(たかはし・りょうへい)

中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員等を経て現職。世代間格差問題の是正と持続可能な社会システムへの転換を求め「ワカモノ・マニフェスト」を発表、田原総一朗氏を会長に政策監視NPOであるNPO法人「万年野党」を創設、事務局長を担い「国会議員三ツ星評価」などを発行。AERA「日本を立て直す100人」、米国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムなどに選ばれる。テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BSフジ「プライムニュース」等、メディアにも出演。著書に『世代間格差ってなんだ』、『20歳からの社会科』、『18歳が政治を変える!』他。株式会社政策工房客員研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員も務める。
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※ 取材依頼、講演依頼、行政コンサルティング、議会活動コンサルティング等は、 ryohey7654@gmail.com まで。

この記事の投稿者

高橋 亮平
高橋 亮平NPO法人Rights代表理事
1976年生まれ。明治大学理工学部卒。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。