政治教育における政治的中立性に関するNPO法人Rights代表理事 高橋亮平のコメントが毎日新聞に掲載されました。

特集ワイド:続報真相 自民部会「教師に罰則」提言 主権者教育の「中立性」って何
(2015年7月31日 毎日新聞夕刊)

 

「18歳選挙権」が実現し、高校生への「主権者教育」の必要性が叫ばれ始めた。一方、自民党文部科学部会は「政治的中立」を逸脱した教師に罰則を科すことなどを提言、教育現場に波紋が広がっている。主権者教育における「中立性」について考えた。【小国綾子】

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◇ドイツ、超党派が監査し教材を提供

では、他国では「中立性」をどう確保しているのか。NPO法人Rights代表理事で中央大特任准教授、高橋亮平さんによると、「ドイツでは、公的機関である政治教育センターが大きな役割を果たしています。ホームページで、時事問題を授業で取り上げる際の教材として使える両論併記のニュース記事や実践例を紹介し、超党派の議員がセンターの政治的中立性を監査しています。センターが中立性を担保することで、現場の教師は安心してその教材を使い、授業することができるんです」。
また「ボイテルスバッハ・コンセンサス」というガイドラインがあり、教員が自分の知識や見識を押し付けることで生徒自身の判断を妨げないことや、論争のあるテーマを取り上げる時には多様な意見の対立自体を示さねばならないこと、生徒の政治参加能力の獲得を促すことなどがうたわれている。
「さらにベルリン市の学習指導要領では、教員が生徒に意見を押し付けたり、意見の相違を成績評価に反映させたりしない限り、教員も個人的な見解として、自らの意見を表明してよいとされています」と高橋さん。
教師が意見を述べるとなると、日本ではすぐに中立性が問題にされそうだ。
しかし「シチズンシップ」という科目が必修化されている英国でも、似た考え方が紹介されている。英国教育省の諮問機関がまとめた通称「クリック・リポート」(98年)は意見が分かれる問題を授業で扱う際、三つの方法を紹介している。
(1)教師が意見表明しない「中立司会者型」(2)生徒の少数意見を大事にするため教師は意見を言ってバランスを取る「均衡型」(3)教師が率直に自分の見解を表明する「明示参加型」。
小玉教授は「どれか一つの手法ではなく、三つを効果的に組み合わせることが奨励されている。教師は中立的であると同時に、議論を活性化させるため、時には自分の意見を述べてもいい、という趣旨です」と説明する。
日本では教育基本法14条で「政治的教養の尊重」と「政治的中立性の確保」が定められているが、小玉教授は「法を読む限り、『何々党に入れて』『何々候補を応援します』という公選法に規定されている選挙運動に当たるもの以外は、中立性を踏まえた教師の政治的発言は原則的に許容されるべきだと思います」と言う。

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この記事の投稿者

Rights 編集部
Rights 編集部NPO法人
NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。
現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。