*投票結果の具体的なデータはこちらになります
*投票理由、感想などはこちらになります
0:概略
=日本で初めて、全国規模での「ユース模擬選挙」を実施=
 第43回衆議院議員選挙(総選挙)が終わりました。小泉さんが首相になって初めての総選挙であり、また民主党と自由党が合併するなど、「マニフェスト選挙」「政権選択選挙」として注目を集めましたが、投票率は59.86%と、戦後2番目の低投票率となりました。
 さて、選挙における投票行動は、民主主義を実現する重要な一歩です。しかし前述しましたように今回の総選挙は低投票率であり、前回の衆議院選挙での20代前半の投票率は35.64%(今回の総選挙における年齢別投票率はまだ公表されていない)という数字が物語るように、特に若者世代の政治離れが深刻になっています。こうした中、未来の社会を担っていく子ども・若者世代が、現在の社会について考え、社会活動に積極的に参加することは、民主主義を育て、自立した社会を築くために大切なことです。
 そこで、これまで「選挙権年齢の引き下げ」「子ども・若者の政治参加促進」をめざして活動してきた特定非営利活動法人Rights(ライツ)は、今回の総選挙に合わせて、「未来の有権者=19歳以下すべての人」を対象にした摸擬投票(「ユース“模擬”総選挙2003」 以下、模擬総選挙)を行いました。模擬総選挙は、ライツのホームページ(ウェブ投票)などを通じて、または各地で学校の授業や地域の取り組みとして実施し、北海道から宮崎まで、7歳から19歳までの1704人が投票しました。
 なお未来の有権者を対象にした「模擬選挙」は、後述しますように諸外国では広く一般的に取り組まれています。日本においては、今回模擬総選挙を実施しました新潟市立五十嵐中学校、東京都立武蔵高校、芝浦工大柏中学高校でもこれまでに取り組んできています。またRightsではこれまでに、東京都町田市長選挙(2002年2月)、東京都多摩市長選挙(2002年4月)で模擬選挙に取り組んできました。そうした中、今回の「ユース“模擬”総選挙2003」は、日本における全国規模による初めての模擬選挙となりました。
1:投票数に関して
=全国から1704人の未来の有権者が投票=
 模擬総選挙における投票総数は1704票、有効票は1613票でした。
 模擬総選挙の投票方法には、
1:Rights呼びかけによる投票(ウェブ、模擬投票所、FAX、郵送)
2:学校での投票
3:地域での投票
の3パターンがあり、それぞれ、1:Rights160票(うち有効票149票)、2:学校1160票(うち有効票1080票)、3:地域384票(有効票のみ)、となりました。
 特に「2:学校」における取り組みには、公立・私立合わせて6校(公立中学:2校、公立高校2校、私立高校1校、私立中学高校1校)から参加・協力がありました。
 また、地域での取り組みである岐阜県における「U-19 模擬総選挙@ギフ」は、岐阜県選挙管理委員会との関係もあり、投票結果を公表しない(投票数及び投票者属性のみ公開)ことにしていますので、公表できる投票総数は1229票となります。
 なお実際の選挙においては、小選挙区・比例区の両方で投票していますが、模擬総選挙においては、投票結果の集計・比較を行ないやすい「比例区」での投票を中心的に呼びかけました(小選挙区での投票を行った取り組みもありますが、それぞれの投票数が限られているため、希望のある方のみ後日公表いたします)。
2:投票方法に関して
=学校68%、街頭23%、ウェブ9%=
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 1で述べましたように、今回の模擬総選挙においては3つのパターンによる投票方法がありました。やはり学校での取り組みは「票田がある」ということで、投票者の割合は大きくなっています。
 ただし、岐阜県での取り組みにおいては街頭投票だけで384票を集めており、今後、たとえば、渋谷センター街で模擬投票を行うなど、未来の有権者世代に直接投票を呼びかけることの可能性があると言えます。
 また、Rightsが全国に呼びかけた投票においては、ウェブ投票(PC及び携帯電話)154票、模擬投票所5票、FAX投票1票でした。ウェブ投票においては北海道から宮崎までの全国各地から投票があり、学校や地域で取り組みのない方にとっては有意義なものとなっています。しかしPR不足は否めず、呼びかけに課題があったと言えます。
≪模擬総選挙に取り組んだ学校・地域(順不同)≫ ※具体的な取り組み内容は後述
・新潟県新潟市立五十嵐中学校:中学3年生がマニフェスト比較などを実施
・東京都立武蔵高校:高校3年生を中心に実施
・東京都立板橋高校:高校3年生が授業の一環として実施
・芝浦工業大学柏中学高等学校:中高の生徒会を中心に全校規模で実施
・立命館宇治高校:高校3年生が授業の一環として実施
・甲信越・北陸地域の公立中学校(匿名参加): 中学3年生が授業の一環として実施
・U-19 模擬総選挙@ギフ(岐阜県):高校生を中心に、岐阜1区で街頭投票
3:投票者の年齢分布
=8歳から19歳までが投票。14歳以降による投票が多い=
 投票者の年齢分布をみますと、学校による参加が多く、岐阜県による取り組みが中学3年生~高校3年生を対象にしていたこともあり、中高生世代(概ね13歳~18歳)の投票が約1650票となっています。
 一方ウェブ投票においては小学生世代(12歳以下)からの投票も10票以上あり、最年少は8歳でした。「新聞や週刊こどもニュース(NHK)で選挙特集がのっていたので、今年は政治のことがよくわかった(Rights、女、11歳)」「選挙公報を読んで、いろいろな政党の考え方がわかった(Rights、女、12歳)」という感想に代表されるように、小学生世代であっても政治や選挙のことについて難しいながらも真剣に考えており、こうした活動に関心のあることがうかがえます。
4:投票結果(比例区)に関して
=政権交代!? 自民31.2%、公明6.8%、民主42.8%、共産11.2%、社民8%=
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 おとなによる実際の投票結果と模擬総選挙での投票結果は、母体数に差があることもあり一概に比較することはできず、また、投票結果の受け止め方は人それぞれですので、あえてここで論評はしません。
 ただし、投票結果を見て言えることは、「投票した理由」を読んでいただければ分かると思いますが、それぞれ各政党が掲げている公約・政策を読み取り、自分達にとって身近な問題だと思える事柄や、社会の一員として参画する上で重要だと思う公約・政策を掲げている政党に投票したようです。
 この背景には、これまでにおいては「公約=選挙の時だけ掲げるもの」という印象が強かったのですが、今回の選挙が「マニフェスト選挙」「政権選択選挙」と言われていたこともあり、各政党が作成したマニフェストを読み込み、あるいは各政党のウェブサイトにアクセスしたりマニフェスト比較を行なっている新聞やウェブサイトなどを見比べるなど、選挙・政治というものをきちんと考える環境ができてきたから、と言えるのではないでしょうか。
5:模擬総選挙及び政治・選挙に対する意識に関して
=概ね選挙に対する関心は高く、模擬選挙を通して政治意識が高まる効果も=
 「子どもは政治的知識や判断力に乏しい」と言われます。実際、「公約が難しくてよく分からない。(立命館宇治、女、18歳)」「全く分からない。興味もないし、どこがなんて言っているのか、あんまり違いも分からないっ。この選挙がなんなのかも、知らない。(立命館宇治、女、18歳)」という意見のように、政治や社会を取り巻く状況についての関心や意識が低い方がいるのも事実です。しかしこれは未成年者に限ったことではなく、今回の総選挙における投票率が戦後2番目の低さだったことからも、おとな全体に対しても言えます。
 むしろ前述した小学生世代の意見や、「今まで選挙など考えもなかったけど、今回の授業で選挙のことを考えさせられたいい機会だったと思う。(立命館宇治、男、17歳)」「もっと考えなければならないと思った。日本人には政治に無関心な人が多く、若者も政治離れしすぎだと思う。何年か先は私たちの世代の時代になるのだし、今の日本の悪い状況を脱するためにも若者がもっと政治に関心を持って、良い日本をつくっていかなければならないと思った。(立命館宇治、女、17歳)」といった感想からは、「未成年であってもしっかりとした考えを持ってる人はたくさんいる。これからの日本を作っていく私たちの声も聞いてほしい。(Rights、男、19歳)」というメッセージを強く感じます。また、芝浦工大柏が投票時に実施したアンケートによると、模擬選挙で関心が高まると答えた者は65%となっており、模擬選挙を通して政治意識が高まることが明確になりました。
 なお、政治を難しく感じさせている背景には、そこで使われているコトバの意味が分かりにくい、ということが挙げられます(例:「マニフェスト」と「公約」の違い、など)。実際、今回の取り組みにおいては「難しいなぁと思いました。子供にもわかりやすいマニフェストを作って欲しいです。(Rights、女、14歳)」という声に代表されるように、いかにして「政治」を子ども・若者世代に分かりやすく伝えていくかが課題であり、そうした要望が学校側からRightsに対して寄せられもしました。しかし、私たちが各党のマニフェストなどを子ども用に要約しますとそこにはどうしても“主観”が入り模擬選挙の原則である「公平・公正・中立」が保てなくなるおそれがあるため、要約などの作成はしませんでした。(Rightsによるサポートは後述)
 「子ども用のマニフェスト」を作成するかどうかは各党次第です。けれども海外の政党では「子ども向けウェブサイト」「子ども向け政策集」があるのが一般的で、子どもにとって分かりやすいということは、当然、実際の有権者(おとな)にとっても分かりやすいということになります。実際の有権者に政策を分かりやすく伝えつつ未来の有権者にアピールをする、ということは不可能ではなく、各政党にとってもメリットだと思われます。
6:Rightsによるサポート
=これまでに培ってきた人脈・ネットワークをフル活用=
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 模擬総選挙を実施するにあたり、Rightsでは各地での取り組みをサポートするために下記のことを行ないました。
・主要6政党(自民・民主・公明・共産・社民・保守新)のマニフェストを入手し、セット(各1部)にして申し出のあった学校に配布→授業内で活用、学校内の「模擬投票所」に閲覧コーナーを設ける、など
・比例区に候補者を立てていた5政党(自民・民主・公明・共産・社民)の選挙ポスターを入手し、セット(各1枚)にして申し出のあった学校に配布→学校内の「模擬投票所」に掲示、など
・Rightsウェブサイト内に「模擬総選挙専用ページ」を設置し、各党や主要マスコミ、選挙・政治関連サイトへのリンク集を充実
・「模擬総選挙呼びかけ文」「模擬総選挙参考資料(過去の取り組み報告)」「模擬投票用紙」などを準備し、各学校・地域に提供
・主要マスコミに対するプレスリリースのほか、特に模擬総選挙に取り組む各学校所在地のマスコミに対してもプレスリリースを実施
今後は、さらに下記のような取り組みを模索していきます。
・未来の有権者と各党代表者による意見交換(例:「未来の有権者による公開討論会」「10代による公開質問状」など)の実施と、その様子の報告(ウェブサイトでの提供など)
・子ども向け「政策集」「ウェブサイト」を作成するよう、各政党や立候補予定者に働きかける
・模擬選挙の実践記録のとりまとめと情報提供
・模擬選挙呼びかけグッズ(ポスター、チラシ、のぼり、投票箱など)の作成
・総務省及び各地の選挙管理委員会、明るい選挙推進協会との連携
・文部科学省及び各地の教育委員会への働きかけ など
7:学校・地域での取り組み内容
=それぞれ限られた時間内で特色ある取り組みを行なうが、今後の課題も=
各学校・地域ではそれぞれ、下記のような取り組みを行ないました。
≪新潟市立五十嵐中学校≫
(担当:後藤雅彦先生 TEL025-260-1491)
【特色】
・新潟市選挙管理委員会が、実際の選挙で使用する投票箱を貸し出す
・投票前と投票後に、それぞれ生徒に対し意識調査(「政治に関するアンケート」)を実施
・前回総選挙時も模擬選挙を実施
【取り組み内容】
・中学3年生の2クラスで実施
・授業内で投票を行う
・衆議院議員選挙のしくみ、政党の意義と働きの説明
・「衆議院解散と各党首の抱負」(NHK録画)、「各政党の第一声」(NHK録画)、「地元立候補者の訴え」(NHK、民放録画)をそれぞれ視聴
・マニフェスト調査及び「私がつくる6政党のマニフェスト比較表」の作成
・新聞スクラップ「私が気になる立候補者・政党の記事」及びその感想
・模擬総選挙と実際の選挙の違いについてのふりかえり(総選挙後)
≪東京都立武蔵高校≫
(担当:松田隆夫先生 TEL0422-51-4554)
【特色】
・松田先生は、前任校も含め10年近く模擬選挙を実践
【取り組み内容】
・高校3年生を中心にして、1・2年生にも投票を呼びかける
・昼休み及び放課後に投票時間を設け、自主的な投票を呼びかける
・日本及び世界が抱えている政治、経済問題について年間の授業を通じて学習
・衆議院議員選挙のしくみについての説明
・模擬総選挙と実際の選挙の違いについてのふりかえり(総選挙後)
・「最高裁判官国民審査」に関しても模擬投票を行う
≪東京都立板橋高校≫
(担当:若菜俊文先生 TEL03-3973-3150)
【取り組み内容】
・高校3年生が授業の一環として実施
≪芝浦工大柏中学高等学校≫
(担当:杉浦正和先生 TEL04-7174-3100)
【特色】
・中学・高校ともに、生徒会役員や現代史部(高校)などの生徒を中心に投票を呼びかけるなど、生徒中心の模擬選挙は日本初
・担任などがHRなどでさりげなく声をかけて勧めたクラスや、友達を熱心に誘う生徒がいたクラスは投票率が高かった
・前回総選挙時も模擬選挙を実施
【取り組み内容】
・中学は3年生を中心に投票を呼びかけ、高校は全学年に投票を呼びかける
・中学と高校での投票は別日程で行い、それぞれ昼休み及び放課後に昇降口で投票受付&投票を行う
・総選挙情勢や選挙制度の解説とともに、各政党の選挙初日の第一声をまとめた「社会科通信」を発行し、全生徒に配布
・中学3年生の授業において、政党の政策を解説した記事などを説明した
・高校1年の授業において、選挙情勢に関する常識クイズを実施するなど、総選挙の説明をした
・模擬総選挙と実際の選挙の違いについてのふりかえり(総選挙後)
≪立命館宇治高校≫
(担当:杉浦真理先生 TEL0774-41-3000)
【取り組み内容】
・高校3年生を対象に、授業内で投票を行う
・「候補者政策アンケート」(新聞記事)の政党名を隠して各党のウェブサイトなどで検索及び政策比較
・年金、財政赤字、雇用など、高校生に関連する実態について説明
・模擬総選挙と実際の選挙の違いについてのふりかえり(総選挙後)
≪甲信越・北陸地域の公立中学校(匿名参加)≫
【取り組み内容】
・中学3年生が授業の一環として実施
≪U-19 模擬総選挙@ギフ(岐阜県)≫
(担当:秋元祥治さん(事務局) TEL090-4070-3865)
【特色】
・未成年の高校生を中心とする若年層有志・約15名が、選挙公示日以後に取り組みを始める
・「公職選挙法に抵触する」ことを岐阜選挙管理委員会から指摘されたことを受け、投票結果は未公表
【取り組み内容】
・新岐阜駅前周辺で街頭投票
・対象は中学3年生以上(「公民科」の授業を受け、主体的な投票可能年齢を中学3年生とする)
8:他国の模擬選挙の取り組み
=多くの国で、数百万人の子どもが模擬選挙で投票=
 今回、日本において初めての全国規模による模擬選挙となりましたが、他国においては模擬選挙は非常にポピュラーなものとなっています。
≪アメリカ合衆国≫
・19世紀終わり頃から、基礎学力のほかに公民の資質の育成の必要性が主張され始め、公民教育・政治教育は公教育の重要な使命として認識されている
・近年の低投票率や政治への無関心に対して危機感を抱いた自治体の選挙管理委員会が、さまざまな選挙民教育の企画を提供しており、その一つが、子ども・親に対して模擬投票を呼びかけ、教育者に対して模擬選挙プログラムを提供する企画
・ウィスコンシン州では「全米親模擬選挙」に参加し、1992年には368,000人のウィスコンシン州の児童が投票。その模様をウィスコンシン州公共放送及びCNNが放映
・オレゴン州児童模擬投票は、1998年11月の実際の選挙の数日前に行なわれた
・「全米親子模擬選挙」は、カーター元大統領、フォード元大統領から支援をうけており、共和党及び民主党、並びに連邦教育省からも助成されている
・1996年の大統領選挙の際には、全米50州から600万人が参加
≪ドイツ≫
・現在の社会の仕組みを生徒に教え、理解させるだけではなく、それらを国民にとってよりよいものに変えていく能力を身につけさせることを政治教育の目標にしており、連邦と州にそれぞれ「政治教育センター」を設置している
・16歳に地方選挙権を保障しているニーダーザクセン州のある学校では、選挙を民主主義学習の良い機会ととらえ、選挙前の8時間の授業を「選挙学習」として、地方選挙に関する記事の切り取りや各党の政策の比較をする授業を行なっている
≪スウェーデン≫
・理科系と社会系の教科を統合した「オリエンテーリング」で、人間が混迷した現代社会で、正確な知識と情報を取捨選択しながらいかに生きていくかをテーマに、時事問題を扱っている
・学校で政治参加が肯定的に教えられている為、中学生で政党に所属することは一般的で、高校生の議員も過去に誕生している
・選挙前には各党の候補者が学校を訪問して、生徒と討論する機会がある
≪コスタリカ≫
・大統領選挙と同日に、おとなのための投票所のすぐ脇で模擬投票を行っている
・民主主義は「ある」ものでなく、日々「創る」ものだという考えのもと、学校教育の一環として生徒が選挙を実施し、付近の子どもたちが有権者という存在を三歳のころから体感している
9:今後について
=来年7月の参議院議員選挙において「ユース模擬選挙」に取り組みます=
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 模擬選挙は公職選挙法第183条の3「人気投票の公表の禁止」に抵触してしまう部分があるため、選挙管理委員会などから実施すること自体に拒否反応が非常に強くあります。また、「生の政治」を扱うためか、教育委員会などが学校内で模擬選挙を行なうことに反対する自治体もあります(東京都町田市)。しかし、若者の投票率が低下し問題視されている現在、「私たちはまだ選挙権がないのでとても残念だったが、このように政治に参加できる機会があって非常に嬉しかった。これからもこのような運動を展開していって、どんどん若者たちに選挙権の大切さ、政治の大切さを教えていって欲しい。(Rights、男、14歳)」という感想に代表されるように、模擬選挙を行うことのメリットは非常に高いと考えています。
 そもそも模擬選挙は、地域が抱えている政策課題が焦点となる選挙を基にして行なうため、生活している地域の課題について考える格好の機会です。教育基本法第8条では「政治教育」について次のように規定しています。
①良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
②法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
 ようは、第2項に抵触しないよう「公正・公平・中立」の立場を確認さえすれば、政治教育の一環として模擬選挙に取り組むことはなんら問題ないのです。
 来年7月には参議院議員選挙が予定されています。Rightsでは今回の取り組みを踏まえ、学校での取り組みを全国に広く呼びかけます。学校においては授業の中だけでなく、生徒の社会参加の力を育てるものとして意義付け、学校行事として取り組んでほしいと思います。そしてまた、岐阜県の取り組みのように地域での模擬選挙実施に関しても、各地域に対して幅広く呼びかけていきたいと思います。さらにその際、各政党や選挙管理委員会、教育委員会は模擬選挙の意義を理解・確認し、積極的に学校や地域と協力するよう働きかけていきます。
 また、国政選挙以外にも統一地方選挙をはじめとして、地方自治体の選挙は1年を通じて必ずどこかで行なわれています。各地域における地方選挙においても模擬選挙に取り組めるようサポート体制を充実させ、今後も選挙の場を活用して、より多くの子ども・若者世代に、地域の課題や政治について考え、深められる場、つまり民主主義を醸成していく環境を作っていきます。
10:最後に
=今こそ選挙権年齢を引き下げる時期=
 参加者からは「前から、早く大人になって選挙をしてみたい、と思っていたので、とてもうれしかった。良い勉強になった。(Rights、男、10歳)」「選挙権がないけど、実際、これからの未来を生きていくのは、私たちだと思う。こういう風な形で私たちの意見を取入れてもらえるのはうれしい。(匿名1、女、14歳)」「今まで選挙など考えもなかったけど、今回の授業で選挙のことを考えさせられたいい機会だったと思う。(立命館宇治、男、17歳)」「選挙に興味はあるけれど、まだ選挙権がなくて投票できないので残念です。でも、選挙権のない私たちがどう思っているのか意思表示できるとてもいい機会だと思いました。これで本物の選挙と私たちの選挙にどんな差が出るのか今から楽しみです。(芝工柏、女、18歳)」といった、肯定的な意見が多数寄せられました。
 有権者ではなくてもこの日本で生活しているのであり、このような機会を活用して地域の課題や政治に関心をもてるように働きかけ、意見交換をしていくことが、自分達が生活している地域・国を活性化することにつながるのだと思います。
 この間、忙しい中ご協力くださったマスコミ関係者、学校で取り組んでいただいた先生・生徒のみなさん、模擬総選挙に投票して下さった皆さん、そして実施にご協力いただきました多くの皆様にこの場を借りて心から御礼申しあげます。
 なお、Rightsは10代・20代中心で運営している財政基盤の小さいNPOです。こうしたライツの取り組みを広げていくためには、多くの方の賛同・協力・寄付などが不可欠です。今後とも、ご協力をよろしくお願いいたします。
2003年11月20日
特定非営利活動法人Rights
代表理事  小林 庸平
常務理事  林  大介(模擬総選挙担当)
≪御協力・御賛同(順不同)≫
全国民主主義教育研究会
創造支援工房フェイス
特定非営利活動法人21世紀教育研究所
構想日本(政策シンクタンク) 他

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。