(朝日新聞2013年6月12日社説)
 18歳を成人とし、選挙権も認める。このための民法や公職選挙法などの改正に向けた政府内の検討が足踏みしている。
 少子高齢化が進む中、若い世代に政治や社会への参加を促すためにも、18歳に様々な権利を認めることには大きな意義がある。議論をこのまま棚上げにしてはいけない。
 こんな検討が行われていることを、忘れてしまった人も多いだろう。経緯はこうだ。
 07年に成立した国民投票法は、憲法改正の是非を判断する投票権を18歳以上に認めた。国の未来にかかわる憲法改正にあたっては、より若い世代の意見も反映させるべきだとの考えからだ。この法は付則で、成人年齢や選挙権も18歳でそろえるよう政府に検討を求めている。
 これを受けて法相の諮問機関の法制審議会は09年、民法が定める成年を18歳に引き下げるのが適当との答申を出した。一方で、直ちに引き下げると「消費者被害の拡大など様々な問題が生じる」として、実施時期については国会の判断に委ねた。
 「消費者被害」とは、18、19歳の若者が親の同意なく契約を結べるようになると、悪質商法に狙われやすくなるというものだ。法制審はほかに、自立に困難を抱える18、19歳が、親の保護を受けにくくなるといった問題点も指摘した。
 選挙権だけでも18歳にすべきだという意見もあるが、これには総務省が成人年齢や少年法の適用年齢とのずれがあるのは適当でないと消極的だ。
 政府の腰が重いのは、後押しする世論が弱いからだ。
 政府の調査では79%が反対し、当の18、19歳の人たちさえ賛成は21%にとどまる。「未熟な若者」を大人扱いすることへの抵抗や不安が根強いようだ。
 ただ、考えてもみよう。急速な高齢化に伴って、税や社会保障の負担はますます若い世代にのしかかる。
 その声を、幅広く国政に反映させることは、世代間の公平という観点からも欠かせない。
 選挙権の行使は、大人としての自覚を促す。若者を軽視しがちな政治家たちの姿勢も、変わるかもしれない。
 自民党などは、成人と選挙権を直ちに18歳にそろえることは断念し、国民投票の投票権のみを18歳とする方向だ。
 だが、ここで議論を切り離してしまえば、成人と選挙権年齢引き下げの機運が途絶えてしまうのは目に見えている。
 せめて選挙権だけでも18歳とする。せっかくの機会を逸すべきではない。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

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