高橋亮平代表理事の「格差生むシルバー支配」が毎日新聞2月17日朝刊の「論点」に掲載されました。
格差生むシルバー支配
 今の日本はシルバーデモクラシー(高齢者民主主義)に支配されているのが実態だ。
 各世代の受益負担を推計した内閣府の05年試算によると、1943年以前に生まれた世代は4875万円のプラスだが、84年以降に生まれた世代は逆に4585万円のマイナス。9000万円以上もの世代間格差が生じている。この背景には、若者が政治に参加しにくい現状がある。
 第一の問題は、選挙制度にある。若者の声を選挙に大きく反映するには、選挙権年齢の引き下げ▽世代別選挙区(世代別に選挙区を区分)▽ドメイン投票法(未成年者の投票権を親が代理で行使)--などの方法があるだろう。
 いずれも投票者全体に占める若い世代の数を増やす方策である。若者の利益代表を政治の場に届けるためには、被選挙権年齢の引き下げや、就職しながら選挙に出られる仕組み作り、立候補者の一定割合を若者に充てるクオータ制の導入も有効だ。
 第二の問題は、政策形成の場に若者の声を届ける仕組みがないことだ。最近、国政レベルの有識者会議などに若者の姿が見られるようになったが、参考意見程度でしかない。自治体のタウンミーティングなどは時間の余裕がある人しか参加できない。そもそも日本の若者は、公共の場で意見を表明することや、政治を活用して物事を変える「政治リテラシー能力」を身に着ける機会を与えられていない。
スウェーデン施策学べ
 私が10年に視察したスウェーデンの事例を紹介したい。高齢者福祉が手厚い国として知られるが、実は若者政策においても先進国である。
 学齢期から民主主義教育が徹底されている。生徒会での意思決定を修学旅行で例えると、日本では修学旅行の行き先を生徒が決める学校は少ないだろう。一方、スウェーデンの生徒会には大人と同等の意思決定権が与えられている。行き先の選定から時期や期間、それらの決め方までも、生徒自身に委ねている。さらに生徒会代表は学校評議会にも参画し、教諭や保護者らと共に予算の使い道をはじめとする学校運営にも関わっているのだ。
 各校の生徒会をまとめる全国組織もあり、その上部組織には全国青年協議会(LSU)という若者団体がある。教育組織や文化団体、NPO、政党青年部などさまざまな若者団体を束ねており、政府の若者政策担当相や青年事業庁と合意形成を図り、国の政策決定に直接に関わっている。
 10年当時のLSU代表者は23歳の女性だったが、彼女は欧州連合(EU)や国連の会議で演説するほどの立場にあった。こうした参画への成功体験の積み重ねが70%に及ぶ若者の高投票率であり、「自分たちの活動が社会を変えられる」という意識の高さにもつながっているのだ。
成功体験積み上げ必要
 政治に声を届ける仕組みで言えば、成功体験もない日本の若者にとって一つの可能性がインターネットの活用だと思う。ソーシャルメディアの長所は自分たちの考えを可視化し、つなげて一定の塊に見せられることだろう。少数派の業界団体が政治的な力になり得るのは、彼らが団体として可視化され、求める政策も分かりやすいためだ。嫌らしく言えば、政治家が票として捉えやすいのだ。
 声にならなかった若者の声をネット上に散乱させることで政治に一定の圧力を加え、民主主義や地方自治の質を高め、進化させてもいきたい。
高橋 亮平
NPO法人Rights(ライツ)代表理事
たかはし・りょうへい 1976年生まれ。前千葉県市川市議。松戸市審議監。格差是正を目指すワカモノ・マニフェスト策定委員。著書に「世代間格差ってなんだ」。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。