-首相は18歳選挙権の先行に意欲-
 法制審議会(青山善充会長)は10月28日の総会で千葉景子法相に18歳成人を答申しました。答申(民法の成年年齢の引下げについての意見)は民法成年年齢部会最終報告書を踏まえて「民法が定める成年年齢を18歳に引き下げるのが適当」としましたが、「若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要」との理由から、「具体的時期については、関係施策の効果等の若年者を中心とする国民への浸透の程度やそれについての国民の意識を踏まえた、国会の判断に委ねるのが相当」としています。
 鳩山由紀夫首相は答申を受けて28日に「民法における成年年齢というのはやはり大きな広範な意味合いを持つものですから、慎重に検討していくことが必要」とする一方、「選挙権の18歳への引き下げというものに関しては、それだけを取り出しても早く実現をすることが望ましい」と18歳選挙権の先行に意欲を示しました。
 私たちは法制審部会最終報告や総務省公開ヒアリングでの見解から公職選挙法の先行改正は可能ととらえ、内閣「年齢条項の見直しに関する検討委員会」のスケジュールや民主党政策集から2010年の通常国会での法改正が必要との立場で、参院選での実現にむけて関係官庁や与野党国会議員への働きかけを強めます。
「18歳成人が適当」法制審が答申 時期は国会に委ねる
(朝日新聞10月29日)
 法制審議会(法相の諮問機関)は28日、民法上の成年年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるのが適当とする結論をまとめ、千葉景子法相に答申した。引き下げ実施の時期は国会の判断に委ねた。鳩山由紀夫首相は同日、選挙権の年齢を20歳から18歳へとすることを念頭に「法制審が方向をお決めになったということは大きなステップだとは思います」と語った。
 「18歳成人」の議論は、憲法改正の手続きを定めた国民投票法(07年5月成立)が18歳以上に投票権を与えるとしたことがきっかけ。同法は付則で、10年5月の施行までに、民法や公職選挙法など年齢制限がある法令についても「必要な措置を講ずる」ことを求めていた。答申により、今後は、政府が民法改正や公選法改正に実際に乗り出すかどうかが焦点になる。
 法制審では昨年2月に諮問を受けた後、「民法成年年齢部会」で調査や検討を重ねてきた。部会は今年7月の最終報告で、公選法が定める選挙権年齢が18歳に引き下げられることを前提に、成年年齢も引き下げを認める方針を打ち出した。社会参加の時期を早めれば、若者が「大人」の自覚を高められることなどを意義として挙げた。
 一方で、引き下げれば親の同意がなくても契約を結べるようになるため、18~19歳が悪質商法やマルチ商法などの消費者被害に遭うおそれが増すと指摘。消費者保護策や若者の自立支援策の充実を併せて求め、引き下げ時期はそれらの進み具合を踏まえて国会が判断するものとした。
 最終報告後の法制審総会では「引き下げ時期を答申に明記すべきだ」という意見も出たが、消費者保護策など他省庁にまたがる課題が多く、最終的には具体的な期限を示すのは難しいという認識で一致。部会の結論を了承した。(延与光貞)
「18歳成人」を答申、民法改正時期は不透明
(読売新聞10月28日)
 法制審議会(法相の諮問機関)は28日、民法が20歳と定める成人年齢を18歳に引き下げることが適当だとする意見を千葉法相に答申した。
 民法改正の時期は「国会の判断に委ねるのが相当だ」として政治判断に委ねた。千葉法相は27日の記者会見で次期通常国会への民法改正案提出は難しいとの見方を示しており、改正時期は不透明だ。
 答申は、養子をとることができる年齢については「民法の成年年齢を引き下げても現状通り20歳とすべきだ」とした。
 今回の答申は、法制審の「民法成年年齢部会」が今年7月に取りまとめた最終報告の内容を踏襲したものだ。ただ、最終報告が成人年齢引き下げの前提としていた選挙権年齢の18歳引き下げについては「公職選挙法の改正は法相の所管事項ではない」(法務省幹部)として言及しなかった。
 成人年齢が下がれば、18歳で親の同意がないままクレジットやローンの契約をできるようになることから、答申は「現時点で引き下げを行うと、消費者被害の拡大など様々な問題が生じる恐れがある」と指摘。若者の自立を促す施策や消費者保護の施策を実現することを引き下げの条件とした。
 成人年齢引き下げの議論は、2007年5月に成立した国民投票法が憲法改正のための国民投票の年齢を「原則18歳以上」と定め、10年の施行までに選挙権年齢と成人年齢を引き下げる法整備を求めたことをきっかけに始まった。08年2月、当時の鳩山邦夫法相が「成人年齢を引き下げるべきか否かについて意見を承りたい」と方向性を示さない「白紙」の形で法制審に諮問。審議には当初予定の1年を超えて約1年半かかった。
成人年齢:18歳が「適当」 法改正は国会判断で--法制審答申
(毎日新聞10月28日)
 法相の諮問機関・法制審議会は28日、臨時総会を開き、成人の年齢を20歳から18歳に引き下げるのが適当とする意見を取りまとめ、千葉景子法相に答申した。ただし、民法改正の時期は関連施策の実現が必要として「国会の判断に委ねるのが相当」との立場を維持した。今後、鳩山政権が法案化に向けてどのような手続きを探るかが焦点となる。
 7月、法制審民法成年年齢部会は公選法改正による選挙権年齢引き下げを条件に、成人年齢も引き下げるのが適当とする最終報告書をまとめていた。総会では「選挙年齢を条件とすれば消極的ニュアンスを与えかねない」との意見もあり、答申はこの条件を省いた。
 答申は親の同意が必要だったクレジットカードやローン契約が18歳で可能になることに触れ「現時点での引き下げには(19、18歳の年齢層に)消費者被害拡大などの問題が生じる恐れがある」として、法整備までに若者層の自立を促す施策などの実現が必要とした。
 憲法改正手続きを定めた国民投票法(07年成立)は、選挙権年齢を18歳以上と定め、付則で民法と公選法の年齢条文を10年の施行までに検討するとした。このため法制審は08年2月、是非について諮問を受けた。民主党は今年発表した政策集で、成人年齢と選挙権年齢の18歳への引き下げを明記している。【石川淳一】
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■解説
◇実施にはなお時間
 法制審議会が28日、「18歳成人」を千葉景子法相に答申、民法改正への手続きが整った。しかし、法整備の時期は明示を避け、今後は「政治決着」が不可欠となる。世論の8割が引き下げに反対という現状もあり、実現には課題も少なくない。
 千葉法相は27日の会見で、民法改正案を来年の通常国会に提案するのは困難との見方を示した。19、18歳がクレジットやローンを契約できるようになり消費者被害拡大も懸念されるが、防止する自立支援策が十分浸透していないことや、少年法などほかの法律との整合性を理由にあげる。
 一方、公選法を所管する総務省の原口一博総務相は同日、法改正による選挙権年齢引き下げを検討する考えを示しつつも、来夏の参院選には「間に合わないだろう」と述べた。
 成人年齢引き下げをめぐる議論が起きたきっかけは、07年の憲法改正手続きを定めた国民投票法の成立だが、法制審は同法にとらわれず、引き下げの是非を白紙から議論した。しかし、内閣府が08年7月に実施した世論調査では、契約できる年齢引き下げに約8割が反対。18歳では経済的に自立できていないなどの理由が目立った。答申が民法改正時期にまで踏み込めなかった事情はここにもある。
 民法が改正されれば、選挙年齢や少年審判、ギャンブル、飲酒・喫煙など308法律・政省令に影響を与える。決着を委ねられた国会だが、法改正の時期をいつ、どのような場で見極めるかは今のところ見えていない。【石川淳一】
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■ことば
◇成人年齢
 民法は成人を20歳と定めている。未成年者は、クレジットや高額売買などの契約行為は法定代理人の同意が必要と定めるほか、父母の親権に服する規定もある。政府の年齢条項の見直しに関する検討委員会によると、見直し対象の法律は191。
成人年齢「18歳に引き下げが適当」 法制審が答申
(日本経済新聞10月28日)
 法制審議会(法相の諮問機関)は28日、民法が定める成人年齢について現行の20歳から18歳に引き下げるのが適当との答申をまとめ、千葉景子法相に提出した。引き下げにあたっては若者の自立支援や消費者被害の拡大防止に向けた施策の充実が必要と指摘。民法改正の時期に関しては「国会の判断に委ねるのが相当」と記すにとどめた。
 憲法改正手続きを定めた国民投票法が投票年齢を原則18歳以上としたことを受け、2008年2月から議論を進めてきた。答申のたたき台となった法制審の部会報告では、国政選挙に投票できる選挙権年齢が18歳に下がることを条件にしていたが、答申自体では触れなかった。法務省は「前提条件を付すことで成人年齢の引き下げに消極的な印象を与えたくない」と説明。成人年齢引き下げに法制審答申が一歩踏み込んだ形となった。
法制審「18歳成人」答申 時期「国会に委ねる」
(産経新聞10月29日)
 法相の諮問機関、法制審議会は28日、民法で20歳と規定されている成人年齢について「18歳に引き下げるのが適当」とする答申を千葉景子法相に提出した。今年7月の専門部会最終報告書の趣旨に沿ったもので、今後、実現へのステップは国会に委ねられた。
 部会報告書では、引き下げの条件として公選法の選挙権年齢の引き下げを挙げていたが、今回の答申では盛り込まれなかった。
 答申では、18歳への引き下げを「適当である」としたうえで、法整備には若年者の自立を促したり、消費者被害拡大を防いだりする施策が必要だと指摘した。法整備の具体的な時期は「国会の判断に委ねる」とした。
 政府は今後、少年法や未成年者飲酒禁止法など年齢が関係する約300もの法令の見直しを進め、民法改正案を作ることになるが、作業は膨大になる。
 千葉法相は27日の会見で、「拙速に結論は出せない」とし、来年の通常国会への提出見送りを示唆した。
 平成19年に成立した憲法改正手続きを定める国民投票法が、投票年齢を原則18歳以上としたことを受け、法制審は20年2月から民法の成人年齢引き下げを検討してきた。
 鳩山由紀夫首相は28日、法制審の答申について、「私は選挙権は18歳に引き下げるべきだといってきた。選挙権だけを取り出しても早く実現したい」と述べた。首相官邸で記者団に答えた。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。