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《地殻変動:17》若者救う政策、若者の手で
朝日新聞2009年8月13日
 「すべての政党が40点以下です」。6党のマニフェスト(政権公約)の「若者度」を採点したら、最も高い公明党でも100点満点の36点だった。
 採点者は「ワカモノ・マニフェスト策定委員会」。若い世代の望む政策を示そうと、20代後半から30代の研究者やNPO関係者、地方議員ら7人が昨年10月に立ち上げた。11日に記者会見し、採点結果を公表した。
 「世代間格差の改善」などを基準に採点したが、会見した小林庸平さん(28)は「格差解消のビジョンを示している政党はない」と指摘する。
 では、どんな政策を望むのか。手作りのワカモノ・マニフェストには、将来につけを回さないアイデアが並ぶ。たとえば年金。現役世代が納める保険料で高齢者を支える仕組みを、それぞれの世代が将来の自分たちに支払う年金をあらかじめ積み立てる形に改める。これなら各世代が負担を分かち合えるという主張だ。
 小林さんは大学時代から若者の政治参加を促すNPOにかかわり、いまは民間シンクタンクの研究者。国民投票法で投票年齢が「18歳以上」と定められたのを契機に、投票による政治参加だけでなく、政策立案を手がけようと委員会を発足させた。
 ワカモノ・マニフェストは今秋の出版予定で、政党への働きかけはこれからだが、「来年の参院選のマニフェストには反映させたい」と意気込む。
 こうした動きは若者の間に広がる。策定委員会など22団体の加わったネットワークが07年秋に発足し、互いの政策を提案する集会を重ねてきた。
 背景にあるのは少子高齢化が招く事態への危機感だ。1955年、15歳~64歳の現役世代は11.5人で高齢者1人の暮らしを支えれば良かった。だが、支える現役世代は07年で3人、国立社会保障・人口問題研究所の推計では2055年には1.3人に。若者世代は負担に押しつぶされかねない。
 衆院選にあわせ、やはり公約評価を進めているNPO「政策過程研究機構」の事務局長、福田隆之さん(30)は「高齢者を含む世代間で痛みを分かち合う制度設計が必要だ」と言う。
 約100人のメンバーは福田さんら会社員のほか、若手官僚も名を連ねる。公約評価だけでなく、東国原英夫宮崎県知事が立候補する際、実際にマニフェストづくりを手がけた経験を持つ。東国原氏と議論を重ね、不必要な事業を見直して将来の生活を向上させるための施策を打ち出した。
 自民党政権下では、官僚に政策立案を委ね、業界団体の意向を吸い上げてきた。だが、非正規雇用の若者ら組織されない人たちの声は抜け落ちてしまう。そうした「官僚任せ」を変えるため、福田さんたちがめざすのは「政策市場」の構築だ。大学やシンクタンクの研究者、NGO、会社員、主婦ら市民自らがアイデアを競い合う。政府が採り入れれば「市民が政治の主体になる」。そう話す福田さんは、宮崎で吹いた風がいつか届くと期待している。
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■「ワカモノ・マニフェスト」の主な施策
【労働・雇用】
・労働条件を変えやすくして正規、非正規の流動化
・正規、非正規にかかわらず同一労働・同一賃金
【財政・社会保障】
・消費税などの増税
・自らの世代に給付する社会保障費を事前積み立て
【若者参画】
・参院の選挙区を地域ではなく世代ごとに決める
【家族・教育・子育て】
・子育て世帯の負担を減税などで軽減

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。