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 6月16日(金)に渋谷区立千駄ヶ谷区民会館で第1回Rightsフォーラムが行われました。今回は、朝日新聞論説委員の伊中義明さんに「若者の政治参加と選挙権年齢」というテーマで講演していただき、それを踏まえてフリーディスカッションを行いました。講演内容、フリーディスカッションの内容とも充実したものとなり、とても有意義な企画でした。
高齢化社会の歪みをどう正すか
 日本の平均寿命は、この40年間で男が13.9歳、女が16.2歳延びました。今後10年間に15~24歳人口は600万人減り、65歳以上は600万人増えると予測されます。 人口構成の偏りは、政治が高齢者の意志で動きがちになることを意味します。選挙では「数」がものを言うからです。投票率も年齢が上がるほど高くなる傾向があります。人口の少ない若年層は投票率が低く、人口の多い高齢層の投票率は高い。政党も政治家も誰のために政策を展開するかといえば、自分達に投票してくれる人のために政策を展開したくなります。政党はますます高齢者向けの政策に力をいれるでしょう。そうなれば、さまざまな分野で世代間の不平等等が拡大し、若者が政治から遠ざかる悪循環に陥りかねません。民主主義を脅かすジレンマといえます。
 年金をめぐる世代対立は、その典型です。厚生年金の給付額を物価や給与水準に沿って増やすと、18歳の若者が44歳になる2025年には現在のほぼ倍の保険料になります。そこに老人医療や介護保険が加わる。それを現役世代が負担できるでしょうか。それだけではありません。企業の年金負担が増えれば国際競争力が落ち、賃金の低下や雇用不安につながり、さらには貯蓄率が低下し投資が縮小して、経済成長も落ち込むのではないかと思われます。それにもかかわらず高齢者の政治力ばかりが強まれば、年金給付額の伸びは抑えられないと思います。高齢者人口の多い地域への公共事業を削減するのも難しくなるでしょう。
 高齢世代を若い世代が支えるのは、社会の安定化にとって重要なことです。いたずらに対立をあおるのは良くないと思います。ならばなおのこと、世代間の均衡を保ち、各世代が納得できる社会システムをつくる必要があります。若い世代の意志が政治に、よりいっそう反映される仕組みを整えなければならないと思います。
若者の意志を反映させる選挙権年齢引き下げ
 その一歩として選挙権を18歳に引き下げるべきだと思います。参政権には年齢の上限がありませんから、平均寿命が延びていることで、高齢層の声は常に大きくなっているといえます。それならば選挙権年齢の引き下げを行い、若年層の声も大きくしなければバランスが悪いと思います。あわせて被選挙権年齢も大幅に引き下げてはどうでしょうか。1945年、日本では選挙権は20歳以上と定められました。そのころ世界の大勢は21歳でした。ところが69年の英国を先頭に、70年代半ばにかけて欧米諸国で18歳への引き下げが相次ぎました。当時、欧州は大学紛争、米国はベトナム戦争に直面していました。18歳を自立した大人と認める報告が各国で出され、兵役義務のある若者には選挙権を与えるべきだという意見が大勢を占めました。欧米から後れること30年となってしまいましたが、日本でも若者の政治参加の問題に真剣に取り組むべき時を迎えたのではないでしょうか。その際、20歳を成年と定めている民法の規定との整合性が問題になります。20歳未満を保護の対象としている少年法の改正問題とも連関します。実際の社会では高卒者の2割以上は働いていますし、自衛隊員募集も18歳からです。各国が成年年齢を18歳に引き下げたことを見ても、20歳からを大人と定める根拠は薄れてきているのではないでしょうか。18歳以上に選挙権を与えれば、約350万人が新たに有権者になります。「若者に選挙権を与えても、どうせ投票率が低く、実効性はない」との意見もあるかもしれません。だが、まずは日本がどんな社会をめざすべきかを若い世代が自ら考え選択する機会を与えることが大切だと思います。選挙権や被選挙権年齢の引き下げを契機に、若者の政治への関心が高まることも予想されます。大学生でも選挙に挑戦できるなら、政治がぐっと身近になるでしょう。
 若者が政治に参加し、彼らの意志が高齢者と均衡を保つ形で反映されてこそ、社会の活力は維持されます。そのことを若者たち自身にもぜひ自覚していただければと思います。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。


現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。