-18歳選挙権を前提に実施時期は国会に委ねる-
 法制審議会民法成年年齢部会(鎌田薫部会長)は7月29日に最終報告書(ダウンロード可)をまとめました。中間報告書では年齢引き下げなど主要な論点が両論併記でしたが、最終報告書では「国民投票年齢が18歳と定められたことに伴い、選挙年齢が18歳に引き下げられることになるのであれば(中略)、民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当である」と、公職選挙法改正による18歳選挙権を前提に民法の18歳成人を求めています。
 その一方で引き下げの時期は、施策の効果や浸透に一定の期間を要するため「現時点で直ちに民法の成年年齢の引下げの法整備を行うことは相当ではない」と、国民の意識などを踏まえた国会での判断に委ねています。
成人年齢「18歳が適当」 法制審、時期は国会に委ねる
(朝日新聞7月29日)
 法相の諮問機関・法制審議会の民法成年年齢部会(部会長=鎌田薫・早稲田大教授)は29日、明治以来、20歳と定められてきた民法上の成年年齢を18歳に引き下げることが適当とする最終報告書をまとめた。選挙権を持つ年齢も18歳に引き下げられることが前提。引き下げで生じる恐れがある消費者被害への対策の充実などを条件とし、法改正の時期の判断は国会に委ねた。
 民法上、成年になれば「親権」の対象から外れ、自動車の購入や消費者金融からの借り入れ、住宅の賃貸、結婚などで親の同意なく有効な契約を結べるようになる。部会は、親の同意があれば男子18歳、女子16歳で認められる婚姻の年齢については、法制審が96年に答申した内容に沿って、男女とも18歳にすべきだと提言した。
 最終報告は、社会参加の時期を早めれば若年層の間で大人の自覚が高まるとし、「若者が将来の国づくりの中心」という国の決意を示すことにもなると言及。「急速に少子高齢化が進む日本社会にとって大きな活力をもたらす」と引き下げの意義を説明した。
 その一方で、今よりも若い時期から親の同意なしに契約行為ができるようになることで悪徳商法やマルチ商法に狙われて消費者被害が広がることを懸念。親の保護から外れて経済的に苦しい若者が増えたりする恐れもあるといったマイナス面も指摘した。
 引き下げの時期については国民の意識も重視。内閣府の世論調査で8割が引き下げに反対しているうえ、各省庁が取り組んでいる消費者保護の施策や消費者教育、自立支援策の効果が国民の間に浸透するには一定の時間がかかるとして「現時点での引き下げは不相当」との考えを示した。
 結論として「施策の効果が発揮され、国民に浸透した段階で速やかに引き下げるべきだ」としつつ、具体的な時期の判断は国会に委ねた。
 最終報告は9月中旬の法制審の総会で了承されれば、法相に答申される。(延与光貞)
選挙年齢、民法の成人年齢…「18歳が適当」
(読売新聞7月29日)
 法制審議会(法相の諮問機関)の「民法成年年齢部会」は29日、国政選挙に投票できる選挙年齢が18歳に下がることを条件に、民法が20歳と定めている成人年齢を18歳に引き下げることが適当だとする最終報告書をまとめた。
 民法改正の時期は、国会が判断すべきだとして明示しなかった。民法が改正されれば新たに18~19歳の若者が親の同意がなくてもローンなどの契約行為ができるようになるなど、国民生活に多大な影響を及ぼすことになる。
 報告書は、選挙年齢と合わせて成人年齢も下げれば、「責任を伴った選挙権の行使を期待できる」として、選挙年齢と成人年齢を一致させることが望ましいと明記した。成人年齢引き下げの意義については、「18~19歳の社会への参加時期を早めることを意味し、若者が将来の国づくりの中心だという、国の強い決意を示すことにつながる」とした。
 一方、成人年齢引き下げの問題点として、18歳で親の同意なく一人で契約できるようになり、若者の消費者被害が拡大する恐れがあると指摘した。このため引き下げの時期については、若者に対する消費者教育などの施策の効果が表れるまで行わず、「若者を中心とする国民への浸透の程度を見極める必要がある」と強調。さらに国民の意識を最も適切に判断できるのは国会であり「法整備の具体的時期については国会の判断にゆだねるべきである」とした。
 また、報告書は、成人年齢の18歳引き下げに伴い、民法で定められた結婚ができる年齢(男性18歳、女性16歳)について、男女とも18歳にするよう求めた。
 民法の成人年齢が下がることで、「未成年者」の馬券購入の禁止を定めた競馬法のように年齢条項について「成年」「未成年」と表記している法律は、対象年齢が20歳から18歳に下がる。一方で、未成年者喫煙禁止法のように、喫煙を禁じる年齢を具体的に「満20歳未満」と表記している場合は、民法が改正されても同禁止法を改正しなければ、18、19歳は喫煙ができない。
 最終報告は9月の法制審総会で法相に答申される予定だ。2007年5月に成立した憲法改正のための国民投票法は、投票年齢を「原則18歳以上」とし、選挙年齢と成人年齢の引き下げを検討するよう求めている。これを受け、法制審が08年3月から検討を重ねてきた。
成人年齢:「18歳に」 実施時期は国会判断…法制審部会
(毎日新聞7月29日)
 成人の年齢を20歳から引き下げる民法改正の是非を検討してきた法制審議会の民法成年年齢部会は29日、18歳に引き下げるのが適当とする最終報告書を取りまとめた。公職選挙法改正により選挙年齢も引き下げて成人年齢と一致させるのが望ましいとし、拡大の懸念がある消費者被害の対策充実など一定の環境整備も必要と指摘した。その上で、法改正の時期は「国会の判断に委ねるべきだ」として明示を避けた。
 民法が改正されれば、公選法や少年法など条文で年齢要件を定めた191の法律に影響が及び、「大人」の定義を巡り、国民生活が大きく変わる可能性がある。
 報告書は、成人年齢の引き下げを「社会への参加時期を早め、若者の大人としての自覚を高めることにつながる」と指摘。自らの判断で金銭を使うことが法律上可能となるなどの点で有意義とした。公選法が改正され、選挙年齢が18歳に引き下げられる場合、政治面だけでなく、経済活動でも大人として処遇することで、若者や社会に大きな活力をもたらすと期待感を示した。
 一方、引き下げで、クレジットカードによる高額契約やマルチ商法などの消費者被害の拡大や、自立困難な若者の困窮化などの恐れもあるとして、自立を促す施策の実現が必要と判断した。消費者庁の設置や、消費者教育を盛り込んだ学習指導要領の改定、ニート・引きこもり支援策を柱とする子ども・若者育成支援推進法の今月の成立などを挙げ、こうした施策が国民に浸透した段階で民法改正が行われるべきだと提言。さらに最終的には「国民の意識を適切に判断できるのは国会」とまとめた。
 また、男子18歳、女子16歳と定められている婚姻年齢は「男女とも18歳とすべきだ」とした。養子をとれる年齢は20歳の現状維持とした。
 07年に成立した国民投票法は、投票年齢を原則18歳以上と定めている。併せて付則で民法と公選法の年齢条文引き下げを10年の施行までに検討すると規定し、法制上の措置が講じられるまでは投票年齢を20歳以上とした。このため、法制審が08年2月に諮問を受けた。最終報告書は9月の法制審総会で議論する。【石川淳一】
 ◇法制審部会最終報告書の骨子
▽民法の成人年齢を18歳に引き下げるのが適当
▽教育や消費者保護施策の充実など一定の環境整備が必要
▽法整備の具体的時期は国会の判断に委ねるべきだ
成人年齢 民法は成人を20歳と定めている。未成年者は、クレジットや高額売買などの契約行為は法定代理人の同意が必要と定めるほか、父母の親権に服する親権規定もある。
 【ことば】成人年齢
 民法の規定では20歳。未成年者は父母の親権に服する親権規定がある。また、クレジット契約などで親の同意がなければ無効だが、成人年齢が18歳になると消費者被害の拡大が懸念されている。
成人年齢を20歳→18歳に 法制審部会が最終報告
(産経新聞7月29日)
 民法で「20歳」と定める成人年齢の引き下げを検討していた法制審議会の「民法成年年齢部会」が29日、「成年年齢を18歳に引き下げるのが適当」とする最終報告書をまとめた。消費者被害増大に備えた環境整備など条件も多く、時期決定も国会に委ねたが、世界標準にも並ぶ「18歳成人」への第一歩を踏み出した。
 報告書では、成人年齢を引き下げた場合の意義として、社会への参加時期を早めることで「大人」の自覚を高める▽(親権者の同意なくできる)契約年齢も下がり、自ら働いて得た金銭などを自分の判断で使える-などと指摘。「若年者を将来の国づくりの中心としていくという、国としての強い決意を示す」ほか、選挙年齢が引き下げられ、成人年齢も一致させることで政治に参加しているという意識を責任感をもって実感できる、ともしている。
 また、諮問のきっかけとなった国民投票法の投票年齢(18歳)に合わせ、ともに引き下げの検討が求められた選挙年齢との関係では「一致していることが望ましい」と判断。選挙年齢の18歳引き下げを踏まえ「民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当」とした。
 一方で引き下げにより、悪質な業者からの勧誘、よくわからないまま高額取引を行ってしまう若年者の消費者トラブルの被害拡大、ニートやひきこもりなど経済的自立や社会的適応ができない18、19歳の困窮の増大なども懸念。引き下げには消費者保護・教育、自立のための施策充実といった「一定の環境整備」の必要性を強調した。
 そのうえで、今秋の消費者庁発足や、平成23年度以降順次実施され、消費者教育や法教育、金融経済教育を充実させる学習指導要領改訂、若年者の自立を支援する子ども・若者育成支援推進法と、すでにはじまっている関係府省庁の取り組みも考慮。それらの効果が十分に発揮され、「それが国民の意識として現れた段階で、速やかに民法の法整備を行う」、また、具体的時期については、「国民の意識を最も適切に判断できるのは国民の代表者からなる国会で、国会の判断にゆだねるべき」とした。
 報告書では、成人年齢の引き下げに伴い、成人に達するのは18歳の誕生日▽養子をとることができる年齢は従来通り20歳▽現行男子18歳、女子16歳の婚姻年齢は男女とも18歳に-なども盛り込まれた。
成人「18歳適当」、法制審部会が最終報告 選挙年齢下げ前提に
(日本経済新聞7月29日)
 法制審議会(法相の諮問機関)の民法成年年齢部会は29日、選挙権を得る年齢を18歳に引き下げることを前提に、民法で定める成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるのが適当とする最終報告をまとめた。ただ、実現には「消費者保護政策の充実など、一定の環境整備が必要」と指摘。具体的な民法改正の時期は「国会の判断に委ねるべきだ」との考えを示した。
 最終報告は養子をとることができる年齢については現状のまま20歳とする一方、結婚できる年齢は男女とも18歳(現行は男性18歳、女性16歳)とすべきだとした。
 法制審は改憲手続きを定めた国民投票法が原則18歳以上を投票年齢としたことを受けて成人年齢の見直しを議論してきた。同法は付則で、2010年5月の施行までに、成人年齢や選挙権を得る年齢の引き下げなどを検討するよう求めていた。法制審は近く最終報告を正式決定し、森英介法相に答申する予定。
法制審部会、18歳成人容認 選挙権年齢下げ前提、時期ふれず
(共同通信7月29日)
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を検討している政府の法制審議会(法相の諮問機関)部会は29日、選挙権年齢の18歳引き下げを前提に「民法の成人年齢を18歳に引き下げるのが適当」とする最終報告をまとめた。法制審は9月の総会で承認されれば法相に答申する。国民投票法で2010年の施行までに検討するとされている成人年齢引き下げは、一歩前進となった。
 ただ法改正の時期については、親の同意なしに契約できるようになる18、19歳の若者の悪徳商法被害を防ぐため、消費者教育の充実や消費者庁設置などの施策が浸透した段階がふさわしいとの理由で「国会の判断に委ねる」として明記しなかった。
 また成人年齢を引き下げた場合、現状では男子18歳、女子16歳となっている婚姻年齢を、男女ともに18歳とすべきだとした。
 最終報告は18歳成人について「若者を将来の国づくりの中心としていくという強い決意を示すことにつながる」と指摘。18、19歳が「社会・経済的に独立した主体として位置付けられる」と意義を強調した。
 一方で親権の対象となる年齢が引き下げられるため(1)18歳に達した高校3年生への親を介した生活指導が困難になる(2)親の保護を受けにくくなり自立できない若者が困窮化する―などの恐れがあると指摘。生徒指導のルール作りや、ニートや引きこもりの若者への支援策充実を求めた。
 最終報告が成人年齢引き下げの前提としている選挙権年齢引き下げは、総務省選挙部が「公選法改正の内部的な準備はしている」と説明しているが、具体的な日程は不透明だ。
成人年齢、18歳に引き下げ=実施時期「国会の判断」-自立促す・法制審部会
(時事通信7月29日)
 法制審議会(法相の諮問機関)の民法成年年齢部会は29日、現在20歳と定めている民法の成人年齢について、公職選挙法に基づく選挙権年齢が18歳に変更されることを前提に、「18歳に引き下げるのが適当」とする最終報告書をまとめた。引き下げ時期は、若者に自立を促す施策などの効果や国民意識の動向を踏まえ、「国会の判断に委ねるのが相当」と結論付けた。男は18歳、女は16歳となっている結婚年齢にも言及し、男女とも18歳とするよう求めた。9月の法制審総会に報告される。
 成人年齢が引き下げられれば、親の許可がなくても契約行為ができる年齢も下がるなど、国民の社会生活に及ぼす影響は大きい。今後は、法制化の時期に焦点が移るが、引き下げには反対論も根強く、実際にいつ実現するかは不透明だ。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。