-法制審議会民法成年年齢部会中間報告-
 法制審議会民法成年年齢部会(鎌田薫部会長)は12月16日(火)に中間報告をまとめました。12月17日(水)~1月30日(金)でパブリック・コメント(中間報告ダウンロード可)を受け付け、2月25日(水)に次回会合を予定しています。
 部会は専門家からのヒアリング、高校生、大学生との意見交換、内閣府の世論調査から、中間報告では利点とともに契約年齢は消費者被害が拡大する、親権に服する年齢はニートやフリーターなど自立が困難な若者がさらに困窮するなどの懸念を挙げています。そして成年年齢引き下げの如何を問わず、こうした懸念を解消するための施策・教育の充実を政府に強く要望しています。
 注目の国民投票年齢・選挙年齢との関係では、憲法15条3項が未成年者の選挙権を禁じておらず、国民投票法制定における民法と参政権の判断能力は一致すべきとの国会答弁についても、成年後見の被保佐人・被補助人への選挙権付与を挙げて、民法の行為能力制限者への選挙権付与を禁じてはいないとの立場から「民法の成年年齢とは必ずしも一致する必要がない」との意見で一致しました。
成人は18歳?20歳?法制審部会、結論出ず
(朝日新聞2008年12月16日)
 民法上の成人年齢(20歳)を18歳に引き下げるべきかどうかを検討している法制審議会(法相の諮問機関)の民法成年年齢部会(部会長=鎌田薫・早稲田大教授)は16日、中間報告をまとめた。憲法改正の投票年齢を「18歳以上」とする国民投票法の成立を受けて始まった審議だが、引き下げの是非についての意見は割れたままで、賛否両論を併記する異例の報告となった。
 国民投票法は施行される10年5月までに「必要な措置を講ずる」として引き下げへの対応を促している。部会は、来年1月末まで消費者団体や教育関係団体のほか、一般からも意見を聞いた上で審議を再開し、早ければ来年春ごろには最終報告がまとまる見通し。ただ、反対の世論も根強いことから、引き下げへの明確な結論を出せるのかが不透明になってきた。
 引き下げられると、18歳で親の同意なく契約を結んだり結婚したりできるようになる。
 中間報告によると、若者の社会参加が進んで自立が促進されるという賛成意見の一方、慎重論も多く出された。消極的な意見の理由として、マルチ商法など悪質業者による消費者被害が10代の若者にも広がる▽親の保護もなくなるため、ニートやフリーター、ひきこもりなど自立できない若者がさらに困窮しかねない――といった懸念が示された。
 引き下げる年齢については(1)満18歳(2)高校進学者が多いことを考慮して満18歳に達して卒業する3月(3)19歳、との三つの意見が出ている。部会内では「選挙年齢と成人年齢は必ずしも一致する必要はない」という考え方は共有されており、二つを区別する可能性も議論されている。
 この問題は今年2月、当時の鳩山法相が方向性を決めない形で、法制審に「引き下げの是非」を検討するよう諮問していた。(延与光貞)
成人「20歳→18歳」結論見送り…法制審中間報告
(読売新聞2008年12月17日)
 民法の成人年齢を引き下げることの是非について検討している「法制審議会」(法相の諮問機関)の「民法成年年齢部会」は16日、中間報告書を取りまとめた。現行の20歳から18歳への引き下げに関し、方向性は示さず賛否両論を併記した。
 同部会は来年1月まで一般から意見を募り、来年中に最終報告書を作成する方針だ。
 引き下げ推進論の中心は、若者の社会参加と自立を促すべきだとするもの。一方、慎重論では、若者の消費者被害が拡大する恐れがあるとの意見が多かった。
 引き下げの時期については、〈1〉まず民法を改正し、施行まで2~10年程度の猶予期間を設定して、その間に消費者保護などの施策を行う〈2〉施策が充実するまでは法改正を行わない――の二つの案に分かれた。
 民法は未成年について、〈1〉契約などの法律行為をするには親などの法定代理人の同意を得なければならない〈2〉父母の親権に服する――などと規定している。中間報告書はそれぞれについて、成人年齢を引き下げた場合のメリットとデメリットを並べた。
 〈1〉では、自分の判断でローンなどの契約を結べる一方、若者の消費者被害が拡大する恐れがあると指摘。消費者教育を受けるための環境も整っていないとした。〈2〉では、親から虐待を受けている若者が解放される利点がある反面、親の保護を受けにくくなり、ニートやフリーターなど自立が困難な若者がさらに困窮する恐れがあるとした。
 引き下げる場合の年齢も、〈1〉18歳〈2〉18歳に達した直後の3月の一定日〈3〉19歳――とする案に三分された。
 同部会が、現時点で成人年齢引き下げに踏み込まなかったのは、委員の間で「機が熟していない」との空気が支配的だったためとみられる。政府や民間の世論調査でも、成人年齢引き下げに反対が賛成を上回っている。5~6月に部会の委員たちが高校に赴いて開いた意見交換会でも、引き下げについて、高校生側から「18歳で急に大人だと言われても困る」などと、反対意見が多く出たという。
 同部会は、投票年齢を「原則18歳以上」とする国民投票法が成立したことを受けて3月に審議を始めた。同法の付則は2010年の施行までに「公職選挙法、民法その他の法令について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と規定。関連法が改正されるまでは国民投票年齢を20歳以上にすると定めている。
 法務省は最終報告書までに議論を集約したい意向だが、意見がまとまらない可能性は高い。
成年年齢 「18歳」へ議論を深めよう
(読売新聞社説2008年12月17日)
 世界の多くの国が、民事上の成年年齢を、選挙権年齢に合わせて、18歳としている。他国の同じ世代と比べて、日本の若者だけが、とりわけ未熟というわけではあるまい。
 成年年齢、選挙権年齢の20歳から18歳への引き下げに向け、政府は、関係法令の取り扱いや必要となる施策について、前向きに議論を進めてもらいたい。
 民法が定める成年年齢を20歳から引き下げることの是非を検討している法制審議会の部会が、中間報告をまとめた。引き下げの是非などで委員の意見は分かれ、賛否両論を併記した。国民から意見を求めたうえで、さらに検討し、来春をめどに結論を出すという。
 昨年成立した憲法改正のための国民投票法は、投票権を18歳以上に与えた。さらに付則で、2010年5月の法施行までに、選挙権年齢の引き下げのほか、民法など関係法令も検討し、「必要な法制上の措置を講じる」とした。
 これに伴い、政府は、年齢条項のある191の法律、117の政省令の見直しを検討する。民法の成年年齢は、その主要な柱だ。
 中間報告によると、成年年齢引き下げについては、「若者の社会参加や自立が促される」との賛成意見がある一方、「そうしたことが促されるとは限らない」「社会参加は選挙権年齢の引き下げで対処すればよい」などの反対論も出て、議論が収れんしなかった。
 少子高齢化が進む中、若い世代に、人口減社会の担い手として参加意識を高めてもらうことは極めて大切だ。18、19歳でも親の同意なしに民法上の契約や結婚ができるようになれば、責任の厳しさを痛感し、「大人」としての自覚を持つようになるのではないか。
 参政権としての判断能力を測る年齢と、民事上の責任能力を測る年齢とは、一致させるのが自然だ。米国の多くの州や欧州諸国、中国、ロシアなども、成年年齢、選挙権年齢は18歳だ。それが世界の大勢であり、国際標準である。
 世論調査では、成年年齢の引き下げに反対が多い。慣れ親しんだ法制度を変えることへの不安があるのだろう。
 これを解消するためにも、中間報告が求めた消費者被害の防止や若者の自立支援のための施策の充実に取り組む必要がある。
 民法の成年年齢が下がったからといって、他法令の年齢条項がすべて自動的に下がるわけではない。飲酒・喫煙などは社会への影響を踏まえ、20歳に据え置くかどうかを個々に判断すればよい。
成人年齢:「成人18歳」は両論併記 自立促す/保護必要--法制審部会中間報告書
(毎日新聞2008年12月17日)
 「成人」の年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正の是非を検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、委員の賛否が分かれたとして是非を明示しない中間報告書を公表した。引き下げにより若者の自立や社会参加が進むとする肯定論と、政府の取り組みが不十分とする反対論が拮抗(きっこう)し「両論併記」となった。
 賛成意見は、欧米諸国の多くが成人を18歳と定めている現状を踏まえ「若者の社会参加や自立を早期に促すべきだ」としている。一方の反対意見は「1人で契約できる年齢も下がり、若者の消費者被害が拡大する」「早くに親権から離れ、フリーターや引きこもりなど、経済的に自立していない若者が保護されなくなる」などだ。原則18歳以上を投票年齢と定めた国民投票法は、付則で民法などの年齢条文引き下げを10年の施行までに検討すると規定。部会はパブリックコメントを募集したうえで、来年1月以降に議論を再開する。【石川淳一】
法制審、18歳成人是非判断せず 部会が中間報告
共同通信2008年12月16日
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を検討する法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、意見が割れてまとまらなかったことから是非の判断を見送り、賛否両論を併記するにとどめた中間報告を公表した。
 憲法改正手続きを定めた国民投票法は2010年の施行までに成人年齢を見直すことを明記。民主党は、両論併記の中間報告によりその検討作業が遅れるとして反発しており、その影響で、憲法改正について審議する国会の憲法審査会の始動がさらに遅れかねない。
 中間報告は、成人年齢の引き下げについて、若者の自立を促すなどとして賛成する意見と、契約年齢が引き下げられ若者が悪徳業者のターゲットになる恐れがあるなどとして反対する考えがそれぞれ盛り込まれた。
 民法の成人年齢見直しについては、国民投票法が原則18歳以上に投票権を与え、付則で10年5月の施行までに、民法の成人年齢や公選法の投票権などについて「必要な法制上の措置を講ずる」とした。これを受け、今年2月に当時の鳩山邦夫法相が法制審に検討を諮問していた。
18歳成人 判断見送り 法制審議会 両論併記の中間報告
(東京新聞2008年12月17日)
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正を検討してきた法相諮問機関の法制審議会民法成年年齢部会は16日、引き下げの是非について賛否両論を併記した中間報告を公表した。 
 憲法改正手続きを定めた国民投票法は2010年の施行までに成人年齢を見直すことを明記しており、民主党は、中間報告が両論併記となったことで検討作業が遅れるとして反発している。
 中間報告は、成人年齢を引き下げた場合に契約や結婚、親権など、国民生活にどのような影響が出るかを賛否の立場から長所や短所を列挙。「若者の自立を促す」として賛成する意見や消費契約年齢が引き下げられると、若者が悪徳業者に狙われる恐れがあるとして反対する意見などが盛り込まれた。
 民法の成人年齢見直しについては、国民投票法が原則18歳以上に投票権を与えたことから、付則で10年5月の施行までに民法の成人年齢や公選法の投票権についても「必要な措置を講ずる」ことを求めた。これを受けて今年2月、当時の鳩山邦夫法相が法制審に検討を諮問。11回の会合では高校、大学生らとも意見交換しながら論議してきた。

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NPO法人Rightsは、「未来を長く生きる若者は未来の決定により大きな責任を」との思いから、選挙権・被選挙権年齢の引き下げと政治教育の充実を2つの柱に、2000年から若者の政治参加をめざし活動してきました。

現在は、政治教育や若者政策の提言、政治家への働きかけに加え、自治体における若者参画プログラムの拡充、学生・若者団体への支援・助言などの活動を行っています。